2017.10.25
先月のことになりますが、国立西洋美術館でアルチンボルド展を観てきました。アルチンボルドは神聖ローマ帝国で3人の皇帝に仕えた宮廷画家です。ウィーン美術史美術館におけるコレクションの選定にも貢献したといわれています。
今回の特別展で特筆すべきは、四季シリーズ(「春」「夏」「秋」「冬」)と四大元素シリーズ(「大気」「火」「大地」「水」)の8つの作品が勢ぞろいしたことです。一つの展示室の中に、「春」と「大気」、「夏」と「火」、「秋」と「大地」、「冬」と「水」をセットにして並べて展示する等の工夫がなされていました。解説の竹中直人ナレーションの音声ガイドも非常にわかりやすかったです。
今回は、この8枚すべてのポストカードをお土産に買いました。ミニイーゼルに立て掛けて日めくりのようにして鑑賞しているところです。
2017.10.19
日弁連のライブ実務研修で「よくわかる最新重要判例解説2017(刑事)」を受講しました。講師は、青山学院大学の後藤昭教授でした。
平成27年以降の刑法、特別刑法、刑事訴訟法に関する18件の最高裁の判例についての解説がありました。刑法では、正当防衛の要件や過失の共同正犯の成否など、刑訴法では、GPS捜査の適否や取調べビデオの実質証拠としての必要性など、興味深いテーマも多々あったうえ、各判例について弁護活動への示唆という観点からもコメントがなされたので、実践的な研修でもありました。
私が日頃取り扱っているのは民事事件、家事事件がほとんどで、刑事事件の件数は少ないのですが、刑法のアカデミックな議論もいいなあとあらためて思い直した研修となりました。
2017.10.02
このカテゴリーに入れるのはちょっとおかしいかもしれませんが、ご容赦ください。
「黒い巨塔」(講談社)、「絶望の裁判所」(講談社現代新書)という本を読みました。著者は、瀬木比呂志氏で最高裁判所調査官などを歴任した元エリート裁判官です(現在は大学院教授)。
「黒い巨塔」は小説で、そのタイトルは山崎豊子の「白い巨塔」を意識したものであると思われますが、それが単に、医師が白衣を着ているのに対し、裁判官が黒い法服を着ていることに由来するものとは思えません。裁判所組織を、上命下服、上意下達のヒエラルヒーと断ずる著者からすれば、裁判所の体質を端的に「黒」というイメージで現したものと思われます。
「黒い巨塔」の冒頭には、通常の小説のごとく、「この作品は純然たるフィクションであり云々」という定型文句が書かれているのですが、あとがきにも「この作品は完全な創作であり、実物録、実録小説では全くない」旨の記載がなされています。
フィクション性を2度も強調しているところに、かえって逆説的意味が感じられるのではないでしょうか。