私は、昭和62年と63年の2年間司法修習生として過ごしました。

司法試験に最終合格した昭和61年の11月から修習が開始する翌年4月までの間には、長年の受験生活で疲弊した心身を十分に癒し、また受験予備校などで効率のいいアルバイトをして余裕資金を作ることもできました。

司法修習は、当時湯島にあった司法研修所で4ヶ月間の前期修習を行った後、実務修習地(私の場合は高松)で、検察庁、法律事務所、裁判所民事部、裁判所刑事部で4ヶ月ずつ(合計16ヶ月)の実務修習を行い、再び司法研修所に戻って4ヶ月間の後期修習を行いました。そして、司法修習生の間は公務員に準じた給料がもらえました。

ところが、現在は制度が大きく変わりました。まず、秋に司法試験に合格するといきなりその年の12月から司法修習が始まります。合格の余韻に浸る時間もありません。また、司法修習の期間が半分の1年間に短縮されました。これでは絶対的に時間が不足し、受験レベルの机上の理論と実務との橋渡しがほとんどできないように思います。そして、何より厳しいのは給料がもらえなくなったということです(生活費分を貸してはくれるようですが)。

結局、司法試験の合格者を増やしすぎたので、予算の関係で、給料も払えないし、まともな修習もできないということだと思います。

合格水準を下げてまでも毎年2000人もの合格者を出す必要はなく、水準に達した者のみを合格させ、そのかわり合格者にはきちんと給料も払い、十分な司法修習もさせてほしいと思うところです。

裁判官、検察官、弁護士になるには司法試験に合格しなければなりません。私が受験していたころは、大学の教養課程を修了すれば、司法試験の受験資格を得ることができました。ですから、才能さえあれば大学在学中に司法試験に受かるということも可能でした。

ところが、現在の司法試験は、法科大学院の課程を修了することが受験資格とされています。そうすると、大学卒業後も法科大学院の受験費用、入学金、授業料(2~3年分)、卒業までの生活費(2~3年分)、卒業後司法試験合格までの生活費(1~3年分)等、多額の費用がかかってしまいます。これをすべて仕送りで賄えるのは、一部の富裕層の子弟のみではないでしょうか。通常は、奨学金を利用することになると思います。聞くところによると、司法試験合格までに1000万円もの借金(奨学金の返済義務を含む)を抱える人もいるといいます。

これに加えて、司法試験合格後の司法修習も経済的に大変なのですが、それはまた次回に見ていくことにします。

s-IMG_0237.jpg 「資格を取ると貧乏になります」という本を読みました(新潮新書、佐藤留美著)。資格業を営む者にとっては、なかなか衝撃的なタイトルです。著者は、企画編集会社の代表取締役でライター。第1章は弁護士、第2章は公認会計士、第3章は税理士、第4章は社会保険労務士のことが書いてあり、第5章は「TOEICの点数が上がると英会話が下手になる」とありました。

弁護士以外の資格のことはさておいて、弁護士に関する第1章の小見出しを見ると、「5人に1人は『生活保護受給者並み』の所得」「たった10年で2倍に」「数合わせだった『3000人構想』」「三流大学にも法科大学院ができたワケ」「失敗の理由」「需要がない組織内弁護士」「事件数もピークアウト」「国選弁護人の仕事も奪い合い」「8割超の法科大学院が定員割れ」「司法修習も自腹に」「最初の弁護士業務は『自分の自己破産』?」「使い捨てされた若手の行き先」「ボランティア活動が食い扶持に」等と、これまた衝撃的な内容が続きます。

はたして弁護士になると貧乏になるのかどうなのか。次回以降に見ていきたいと思います。

【対応可能地域】香川県全域(綾歌郡綾川町、綾歌郡宇多津町、観音寺市、仲多度郡琴平町、坂出市、さぬき市、善通寺市、高松市、仲多度郡多度津町、東かがわ市、丸亀市、仲多度郡まんのう町、木田郡三木町、三豊市) 岡山県、徳島県、愛媛県、高知県等の近隣地域や東京、大阪等も対応可能です。
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